「降ってきましたねー。先輩! 雨ですよ、雨!」
「……うるせーな。だからなんだ」
「なんだじゃないですよ! やっぱり6月6日は雨が降るんですね――あいた!」
「だからなんだ」
「だ、だからその……あの……」
「…………」
「う、うぅううぅぅえぇえええん! そんな怖い顔しないでくださいよぉっぉおお!!!」
「だったら、ンな楽しそうに言うな」
くるりと回した赤ペンを握り直し、改めて花山にため息ひとつ。
そもそも、雨が降ってるかどうかくらい、見なくてもわかるっつの。
さっきから、ざーざー音してんだろ。
俺のすぐ後ろに窓はあるが、軒下がかなりあるため、直接雨が降りかかることはない。
それでもわかる、この音。
……ほんと、雨ざーざーだな。